でん(休)

しとしとしとと
この作品に降りそそぐ雨は、どこまでもどこまでもやさしいです。しとしとしとと、ふっくら柔らかな頬を伝い落ちる涙のように温かい雨です。 交わす文は途絶えても交わした心情は絶えませんし、思慕や憧憬や葛藤をこえて主人公が導きだした答えには、彼女のたしかな心づもりがあるのだなと感じます。だからこそ全編をしっとりとしたぬくもりが包むのでしょう。 いま此処に彼がいなくとも。心にポッカリ空いた穴は彼のかたちをしているはずなので、いつまでも大切に大切に抱いていていいのだと思います。 そうしたらいつの日にかその風穴に、しとしとしとと温かい雨が、やさしく降りそそぐのじゃないかなあと思うからです。 本当にだいすきな作品です。 読ませていただきありがとうございました。

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