有栖川 露陰

擲弾兵とは何ぞや? 徒歩竜騎兵?騎兵なのに徒歩? 拙作『黎明のカイゼリン』には数多の不可思議なワードがちりばめられています。 もっと軍事に造詣が深ければ本編に丁寧な解説を入れたいのですが、勉強中の身ゆえ誤解を避けるため記述はかなり控え目にしてます。 が、呟きとして少々。 『擲弾兵』とは本来は、その名の通り爆弾をぶん投げる兵士です。有名なボンバーマンみたいな感じです。危険な任務なので身技体に優れたエリート兵士の仕事です。 後世には爆弾をぶん投げる事はなくなりましたが、エリート部隊の名称として使用され続けます。 有名な熊の毛皮の帽子で知られるイギリス衛兵のスタイルこそ正しく『擲弾兵』の格好です。 ナポレオン戦争期をモデルにした『黎明のカイゼリン』の作中における『擲弾兵』というのも屈強なエリート部隊のことを指しています。 『徒歩竜騎兵』とは何か? これはナポレオン時代のフランスで実際に編制されている兵種です。 竜騎兵とは鉄砲で武装し、騎乗しても下馬しても戦える便利な騎兵です。奇襲や偵察を担う軽騎兵としても、トドメの突撃を担う重騎兵としても使える便利な中騎兵です。 元々は馬に乗る歩兵として創設されたり、と経緯が複雑だったりします。 『徒歩竜騎兵』は下馬戦闘のために歩兵として運用される竜騎兵です。 フランス元帥オーギュスト・ド・マルモンは、ゆくゆくは竜騎兵をエリート歩兵として特化させたいと考えていたみたいですが、結局は徹底される事はありませんでした。 『徒歩竜騎兵』とは結局、エリート歩兵部隊みたいなものです。 作中で敵となるフォン・ルフト中将が指揮する『徒歩竜騎兵』とは即ちエリート歩兵部隊なのです。だから、滅茶苦茶手強いのです。 洋書だと薄いブックレットでも滅茶苦茶ためになるネタがいっぱいで、英語に弱い駆け出しのナポレオンファンにはとても有り難いです。
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ユーキャンの通信講座やガルパンで知られる有名な音楽は『英国擲弾兵行進曲』、ナポレオン戦争の体験記を記したフランス軍人F.ヴィゴ=ルシヨン氏も擲弾兵。 『銀河英雄伝説』のオフレッサーも擲弾兵。世の中のあちこちで擲弾兵がいっぱい活躍しています!

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