有栖川 露陰

NHKの『英雄たちの選択』でキリシタン大名・大友宗麟が取り上げられてました。 大友宗麟は音楽(ムシカ)に由来する「無鹿」という理想郷を創建しようとしたらしいですが、なぜ音楽が理想郷に繋がるのか?という疑問は番組中でも明らかにはなりませんでした。 大雑把にいえば、大友宗麟の理想主義的価値観のあらわれとみる見解でパネリストさんたちは話を進めていました。 しかし、イタリアが誇る文豪でファシスタの魁とされるガブリエーレ・ダヌンツィオが想い描いた理想社会では、どうやら「音楽」が最上の価値を占めるものとされているそうです。 「音楽」と「国づくり」の結び付きって中々ピンときませんが、もしかすると古代ギリシャの哲学における「天球の音楽」や「ハルモニア」の考えは欧米のエリートには当たり前の基礎知識なのやも知れぬ、と考えるに至りました。 詩人のキーツやイェイツも「天球の音楽」について詩で言及してますし。 当時来日していた宣教師は万能学者集団のイエズス会士。 すると、大友宗麟の理想郷「無鹿」はギリシャ哲学を源にする思想に基づくものだったのかも知れないな、と想像を飛躍させてしまいました。 ギリシャ、ローマの教養、キリスト教神学、哲学。イスラム科学史。 中々馴染みのない学問をもっと知らねば、世界の真の姿は見えてこないのかもしれない、と危機意識すら感じました。
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