【コメント】

土佐屋治兵衛

新城珠姫様その２で御座います。新城珠姫様が顔文字を演出として使われるようになったのは、怪盗５００エラーからで御座いましょう。それから「恋でPON！」ではファンタジーということもあり、そして、児童文学としてお書きになられるために演出としてお使いになられているように感じられます。前回、５３頁を例に挙げてこの顔文字を少しばかり説明いたしましたが、子狸が車に轢かれそうになった時、文章だと長い文章となってしまうので、顔文字で一瞬でわかるように表現されておいででした。この作品の良い所は、テンポの良さと一瞬で理解できるように顔文字を使って表現されておられるところで御座います。読み進める速さは、おのずと早くなりますから結末で伝えたいエピソード迄一気に読めてしまうところで御座いましょう。つまりストーリー構成は、オーソドックスな起承転結となりますが、転結までたどり着くのがとても速く、しかも、ドタバタと展開する物語は顔文字によって愉快な雰囲気にしてくれております。また、文字だけでは表現できない、愛らしい幼さを顔文字や記号を使って表現しているところで御座いまして、これも動的表現や、一瞬の表情をここぞというところでお使いになられておいでで、かなり計算してお書きになられておいでではないかと思うところでござます。ペーソスの表現を重苦しくしないところにも、非常に気をつけておいでで、敢えて事細かに書かない代わりに、セリフは非常に人情味たっぷりに演技させておられますね。関西の御方らしく、関西弁をうまく使われおられますね。「天王寺」シリーズでは、下町の荒波人生に情け深いセリフが本当に現実主義的なセリフ回しで人の心抉るようなセリフは、すべて関西弁という下町らしい言葉遣いだからで御座いましょう。ですがこれは、非常にリアリズムに即した「天王寺」シリーズで御座いましたから、大人は人生の重みを肌で感じているからこそわかるので御座いますが、「恋でPON！」は愛らしい雰囲気を維持するためと、コメディのテンポの良さを表現するために顔文字や記号などを使用されているのだと感じます。そして、人情ドラマの重苦しさの排除も成功されていると思います。以上、新城珠姫様の技術力の凄さを、勝手に考察して勝手に呟いてみました。皆様も、是非、違った視点で新城珠姫様の作品をお読みになられては如何でしょうか(^^♪

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