宣芳まゆり

より遠くへ旅立つ物語
 神の子であるイエス・キリストが(人々のために)十字架にはりつけになったように、『僕』は愛する人とわが子のために、惑星のみなもとへかえる。  けれどこの手紙には、『僕』の能力をあてにする人々に対する怒りや、『僕』と愛する人を攻撃した人々に対する恨みが感じられません。  怒り、恨み、ねたみなどの負の感情を持たない主人公。恋を知ってもなお、神のように超然とした存在です。  主人公は迷いなく、わが身を投げだすのでしょう。その心には、死に対する恐怖は感じられません。  (心が常人から)遠い場所にいる主人公が、たったひとつの愛のために、より遠くへと旅立つ物語だと感じました。
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お読みいただけて、御感想までいただけて、ありがとうございます。 読み込んでいただけて、とても幸せです。 主人公は、人々から「さらに遠い」場所にかえったのでしょう。 「みなもとへかえる」という言葉が、好きです。 「かえった」というと、もう彼は家に到着し、そこで待っているような、そんな気がしますから。 本当に、ありがとうございます。励みにさせていただきます。

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