倉橋敦司

『雨の日に犬を拾いました』・・・江戸川乱歩を思い出す掌編ミステリー
 ジュリエット氏は中編も執筆するが、掌編、短編を主に執筆されており、エブリスタでは小説を発表すると直ちに☆が100~200集まるなど大きな支持と読者を獲得しており、心から敬服している。  氏の作品は、ホラー、純愛ものやコメディ、さらに歴史ものなどバラエティに富んでいる。  氏が愛読される理由としては、第一に読者に強い印象を与える奇抜な設定が挙げられる。  決して複雑に説明せず、簡潔に「こういうもの」と読者に納得させサッとストーリーに入る。  読者に疑問を抱かせる暇を与えない。このあたりのテクニックは氏の大きな武器である。  第二点。スラスラ読める平易な文章で、一気に読者を最後まで引っ張っていく。  一体、短編でも少しずつ読めば、あれこれ矛盾が感じられてくるものだが、ジュリエット氏の作品の場合、読みやすさも手伝って、読者は氏に乗せられるように最後まで一気に読み進み、「感動」の読後感だけ残る。  今回、氏の新作『未知と不思議』と本作品を読了して分かったことだが、実は「文学」と呼んで差し支えない掘り下げた内容や文章も身につけている。  本作品の場合、最初の一頁を読んで、特に書き出しの絶妙さを感じ、氏の実力に思い到った。  この作品はミステリー的要素を備えている。掌編ミステリーと呼んでよいかと思う。  予測のつく結末ではあるが、それでも丁寧になされる謎解きは興味深い。  実は日本におけるミステリーの草分けであり大御所、江戸川乱歩が『柘榴』『堀越捜査一課課長殿』で、ほぼ同じ趣向の謎解きをしている。  『柘榴』は昭和初期。『堀越捜査一課課長殿』は昭和三十年代の作品で、同じ謎解きも、時代が変わるとどのように趣向が変わるかを見るのも一興である。  そしてミステリーを成立させるに到った登場人物の意外な事情も不自然なく読める。  「あるかもしれない」と確信を以て納得させてくれる。  小説の最後に漂う暖かく微笑ましい雰囲気は、恋愛小説としては最上の結末であろう。  先ほど名前を挙げた乱歩は、やはり本作品のように恋愛をテーマとした掌編ミステリーをいくつか書いている。  『算盤が恋を語る話』『手紙』等で、殺人等は無論なく、最後にほろ苦く切ない結末に到る。大正の作品である。  令和二年に、心に希望を灯すステキな恋愛ミステリーを拝読させてくれたジュリエットさんに心より感謝したい。      
1件・1件
いつも私には恐れ多いレビューをありがとうございます汗 こちらこそ、いつも作品を閲覧してくださっている倉橋様には心より感謝しております!! 私は、推理などの複雑な話は書けないため、いつも簡単な内容(設定)となってしまいますが、それを読みやすいと感じていただけたなら嬉しいです♪ まだまだ未熟で知識も乏しくはありますが、これからもあたたかく見守っていただけましたら嬉しく思います。
1件

/1ページ

1件