山咲 さくら

禁忌
筆者の感性が淡々と、静かに、それでいて強烈なインパクトを残す作品。 淡々と川が流れているような静けさを感じるでしょう? でも、私は逆で随分、熱い作品であるように思うのです。なぜなら骨噛みというそのものの儀式に強いこだわりを示しているから。色で例えるなら、物語内で語られる描写の細かいところは赤。そこから、引き算したような妻との思い出は青。こだわりのバランスは、筆者の思いの強さと語るべき必要のない私だけの"秘密"を内にかくして、読者には読ませない。内に秘めた秘密さえ本当は熱いのではないでしょうか、見せないだけで。 この物語、私としては"有月さん"自身の内側を切り取ったお話のように感じました。
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さくらさん こんにちは。有月です。 素敵なレビュー、ありがとうございました。 どんな物語でも、作者の色を映さずにはいられない。プロ、アマチュア、ジャンル、物語の長短巧拙を問わずこの現象は観察されて、だからこそ人は物語を綴り、手に取るのかも知れません。 さくらさんも感じてくれた通り、私が書いてきた中でもこの作品は特にその色が濃いと認識しています。当初はもう少し込み入った話だったのですが、手を入れるうちに二項対立を主構成とする簡潔な短編になりました。 作中に明記しなかった「秘密」はいくつかあるのですが、個人的に「父親」の心中に想像を馳せてもらえると、また違った側面が見えてくるかなと思ってみ
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