兄弟と祖母を隔てる空、つなぐしゃぼん玉
たまたま同名のショートショートを書いたので読んでみたのですが、不覚にも泣いてしまいました。 ネタバレ注意 冒頭のおばちゃんとのやりとり、火葬場という状況を伏せたまま、兄弟の性格や年齢をさりげなく紹介、上手いです。おばちゃんとタケルくんの会話、きっと祖母ともこんな感じだったのかなあと、思わせます。 兄と弟の2人兄弟の関係は、壊滅的に仲が悪いことがあります。元首相の息子たち、元横綱の兄弟など。兄がちゃんと父の期待に応えていないと思うと弟は張り切りすぎて兄を見下すようになります。心理学では創世記のカインとアベルに例えられます。少し年が離れて兄が兄らしく振る舞えばそうならない。あとは3番目の弟か妹が生まれれば、にいちゃんになれた弟は落ち着きます。 でも、この兄弟は仲がいい。当たり前のように弟の面倒を見て、気持ちを理解してくれるお兄ちゃん、理想の兄像ですね。 しゃぼん玉というアイテムは、消えることから死を連想させます。でも、作者は空のおばあちゃんとつなぐアイテムとして用います。消えるのではなく、空に吸い込まれた、兄の優しい言葉が心に残ります。 構成や人物像の紹介、アイテムの使い方、短編の書き方のお手本になるような素晴らしい作品です。 たくさんの人に読んでほしいと思いました。
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