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有栖川 露陰
有栖川 露陰
2020/4/25 12:23
『黎明のカイゼリン』のラスボス、帝国総統フィンセント・バッハオーフェン閣下。 貧しい孤児から立身し、神官長・宰相・大元帥を兼任し国政を掌握した独裁者です。 決して怒らず、私欲を持たぬ職務第一の清廉潔白な人物ですが、平然と反対者を粛清しちゃうのが「玉に瑕」です。 妥協や融和を知らない潔癖な統治者は、不潔な悪徳政治家よりも遥かにイカレた圧政者たりうる という恐ろしさを体現しています。 狂気とは「理性がないことではなく、理性しか持たないこと」と誰かが言ったようですが、そんな感じです。 清廉潔白で無欲・清貧でいられるのも、彼の権力基盤が神殿(宗教)だから少なくとも飢え死にすることはない、という事情があります。 清貧を「敢えて選べる」贅沢が許されているのです。 しかし、自らを厳しく律し、少しでも正しく働いていこうとする志は本物です。 そして、それを完璧に真似できる人間は殆ど居ません。まぎれもなく高潔にして高貴な精神の持ち主であります。 そんな彼の統治が、後の歴史にどう繋がっていくのかを描くのが『黎明のカイゼリン』の大きなテーマであります。 勿論、バッハオーフェン自身にも成長があります。 主人公ザビーネお嬢の父の仇にして、乗り越えるべき「育ての父」でもあります。 大河ドラマ的にいえば、平清盛と源頼朝みたいな。 高貴な超人による統治に幻想を抱くのではなく、ままならぬ世の中にどう折り合いをつけてどう行動していくか、どう理想を具体的な形にしていくかというアプローチで描いていけたらと考えています。 多忙につき平日の執筆が進みませんが、書き貯め出来たらまた連載再開したいと思ってます。
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有栖川 露陰
2020/4/25 12:43
ただし、黎明のカイゼリンは田舎貴族や富農を中心とした保守派プチブルの視点による「帝国史」であることは否めません。 視点を変えれば、ラスボスも門閥主義を破壊し皇帝を退けた新時代の旗手、「輝かしい明けの明星」に他なりません。
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