りかりー

みゅさん、いつも応援ありがとうございます(*´ω`*) お礼にミニ話をプレゼント! 【若恋】完敗 さらさらと、桜の花びらとりおさんの少し癖のある黒髪が風に舞っている。 「榊さん、見て!桜、とてもきれい!」 桜を見上げるその柔らかい眼差し。 桜舞う風の向こうには若がいて、その隣には若の見合いの相手がいる。 組長が乗り気の縁談相手だ。 その見合い相手より、若は桜を見上げるりおさんの姿を目で追っていた。 『命令だ、榊。奏からその女を引き離せ。いくら奏の命の恩人だと言っても所詮住む世界が違う』 組長は気づいていた。 若に芽生えた小さな想いに。 それは組の未来を考えればいずれ邪魔になることだと。そして自分の心の揺らぎにも。 だから自分に振ったのだ。 けれど、若の想いを踏みにじることだけはできなかった。 『そうか、わかった。この話はもういい』 その後、若が見合いを断り破談になった時、組長が深いため息を吐いた。 それからしばらくして。 りおさんを迎えに行ったファミレスで、口をつけただけの飲み物がそのままになっていたるのをみつけた。 何かがおかしい。 テーブルの上を見てひどい胸騒ぎを覚え、 「まさ、か」 店の裏口から飛び出した。 その横をタイヤを鳴らして急発進してく車が通りすぎ様、りおさんの姿が! その隣には見覚えのある男が座っていた。 「……りおさんっ!」 脇を走り抜けてく車を愛車に飛び乗ると追いかけた。 車は見失ったが、行き先は予想できた。 大神本家の門をくぐって車寄せに停め、 「榊さま、お待ち下さいっ!」 押し止めようとする男たちを無視して、奥座敷に座る涼しい表情をした組長の前に立った。 「りおさんをどこに連れて行ったんですか」 「……なんのことだ?」 「とぼけても無駄です。あなたが関わっていることはわかってます」 組長の顔が歪んだ。 「なら、好きなように探せ」 広い屋敷の中を探し回る。 一番奥の薄暗くなった部屋に入ると、誰かがゆらりと立ち上がった。怒気と殺気を隠しもなく振り返る。 「……若…?」 その腕に抱かれていたのはりおさんだった。 気を失っているりおさんに若がそっと頬を寄せた。 「親父、……二度目はないからな」 去っていくその姿を、息をするのも忘れて立ち尽くし見ていた。 「………完敗です。若」 【完】
1件・1件
素敵なミニ話ありがとうございます🙇奏カッコ良いわ🎵
1件

/1ページ

1件