有栖川 露陰

戦前の日本には皇族・華族と並んで、李氏朝鮮の旧王家たる公族と朝鮮貴族が居た というのは、初めて知った時びっくりでした。 あと、朝鮮出身の陸軍将校とか国会議員もいたんですよね。 朝鮮王室出身の李ぐう公は帝国陸軍将校だった美丈夫(写真でみると本当に俳優さんみたいな風采です)で原爆により広島で命を落としたんですね。 戦前日本の朝鮮上流階級って興味深いです。 さて拙作『紅し夜のグランギニョル』の舞台は昭和初期。最新更新分で朝鮮料理の話題が出ました。 その名も『鶏参湯』 語られる製法は現在のサムゲタンそのものです。 サムゲタンの登場は太平洋戦争後ですが、サムゲタンの原型となる料理や鶏をまるまる一羽使った滋養に良いスープ『鶏参湯』は戦前から存在していたようです。 なお、戦後になるまで良質のチキンは現在とは比べ物にならないくらい高価な食材でした(欧米でも) ビーフより高い食材だったんです。 場末の『焼鳥』で安価に供されるのは廃鶏やモツです。 現在、おいしいチキンが安価に食べれるのは、ブロイラー種の登場はじめ鶏肉の大規模供給が実現されたからこそなのですね。 閑話休題。しかし、現在のサムゲタンが存在していたかはまったく不明です。 もっとも、戦前において伝統的朝鮮料理は両班のような上流階級などの独占するものであって昭和初期において朝鮮の高級料理の詳細は知られていなかったとの由。 すると、もしかしたら現在でいうところのサムゲタンが何処ぞかの両班の邸で供されるのがありえ無いとは言えない筈(だと信じたい) 時代考証の難しさと歴史の空白の活用について久方ぶりに頭を捻りました。
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朝鮮の官僚貴族たる両班たちが銀食器を好んだ話も出てきますが、これは彼らが毒殺を避けるためなんですね。 毒の恐怖が食文化を洗練させていくとは皮肉で悲しいですが、歴史は面白いですね。
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