遠野 雨弓

タイトルが気になって
 書き出しの1ページ目で、雨に静かな校舎とピアノの響く雰囲気が感じられる素敵な作品です。  話中にショパンの「雨だれ」という曲が出てきます。透明感のある静かな前半から暗い中盤、そして雨が止んでいくような、空に明るさが戻っていくような終盤、その音楽の流れに沿うように物語は進みます。  美しいなかにどこか儚さのある出会いと、中盤に触れられる主人公の憂鬱な気持ち、そして最後まではっきりしないけれど、どこか明るい未来を感じさせて閉じられる流れは「雨だれ」と見事にシンクロしています。  そしてやっぱりタイトルが素敵です。単純なのにとても惹かれます。「雨」という言葉のイメージなのでしょうか。「ショパン」の方でしょうか。それともその組み合わせなのでしょうか。センスのあるなしとは、こういう風に出るのでしょうか。  短いなかに「明・暗・明」を織り込み、希望を感じさせて終わる良作です。
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遠野様 過分なる素敵なご感想を頂きまして、大変ありがとうございます。 ショパンの雨だれは、私自身大好きな曲で「やまない雨」と言うお題を見た際に、雨だれみたいだなとつい思ったことから書き始めました。 この曲をご存じの方に、曲の流れと合わせて共感頂けたことを非常に嬉しく思います。 遠野さんのような方に、このように仰って頂けたことを宝物の1つとさせてください。 重ねてになりますが、この度はお読み頂きありがとうございました。
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