小説の感想
この度は「水無月の恋人〜君と俺と涙雨〜 」を読ませて頂きました。 序盤から紫陽花の妖精かと思わせる描写や妖精が現れる時の周りの雰囲気が分かりやすく頭にすっと流れてきました。 『肌を撫でる程度の風』の表現が柔らかく微かにあたる風の感覚を知れました。 妖精さんが言うように、紫陽花の色合いで透明なガラス玉の瞳という表現が上手く、妖精さんが何故主人公を知っているのか不思議でしょうがなかったです。 梅雨明けをしたら時間を気にする姿に何があるのか続きが興味深い1ページでした。 少しずつ記憶のピースを辿りながらも記憶が途切れる主人公。主人公が妖精さんの事が幼き頃好きだったのは意外でした。 2ページ目でまさかの名前呼びに驚きまして、そこから更に記憶を寄り戻そうとする主人公。 言葉を交わし途中で『恋人』と言われた時は、えっ!まさかの!と思いました。しかも会う約束までしたのにずっと来なかったのは切ない。 その間も妖精さんは待ち続けたと思えば余計に哀しみ浸ってしまいました。 途端に思い出す主人公、なのに「ここに来たかった」という言葉に不思議でした。妖精さんは主人公と違い成長が続かない身体で、いつの間にか主人公の方が大人になっていってしまったの辛さ。 梅雨の紫陽花が咲く頃と共に初恋となり「この季節が来れば、また」という言葉にジーンときました。本当に二人とも良かったね。 この季節限定だけれども、この季節だからこそ逢瀬。上書きされていくアルバム。 梅雨明けの日で約束を交わしながら消えていった妖精さん。残ったのは指輪とは、なんて熱いのだろう。 長文になってしまいすみません。 ですが描写と表現する力が素晴らしく感受性豊かな方なのだろうかと思いました。
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