taro_hanabusa

芸術は誰のためのもの?
「熱」を感じる作品です。 主人公は絵に憑かれた画家で、 理想の美女を描くためなら生身の恋人さえ捨ててる、ある種の人格破綻者ですが、 そのひた向きさと同居している開放的な性格のため、友人には恵まれています。 ひと目を避けたアトリエで、 日夜、創作活動に励む彼にとっての原動力は、 功名心や金銭欲というより「美」そのものに対する深い心酔のようであり、 そんな熱狂的な暮らしを続ける中で、 ついにある日、 描きかけの美女が自分に向かって話しかけてくるようになります。 自分の理想が自分好みの言葉で誘惑してくるなんて、夢中にならずにいられません。 ついには自身の絵と性交し、 ひとりで絶頂していく様は、 ややユーモラスに描かれつつも、 自己陶酔の極地です。 周知の通り、作品とは、 小説、絵画の類に限らず、他者の評価を受けて初めて、「芸術品」になりえます。 そういう意味で、この主人公の創作は稚拙の域を抜けず、独りよがりな自己完結、まさに「自い」と呼ぶべきでしょう。 (※西さん、悪口じゃないですよ、良い作品だと言いたいんです) けれど、そんな主人公が、 めくるめく性体験の末に、 ようやく到着する地点。 気のおけない友人と交わす会話に味を感じます。 長い夢が終わった後も、 やや覚めた頭に残り続ける 切ないような「情熱」こそが、 この作品におけるテーマ、 多くの創作者の胸を打つ、 「真実」のような気がします。 やや気取った表現をするなら、 〜フランスのモンパルナスに暮らした数多の芸術家たちと同じ、胸の内から迸るような若い創作意欲に満ちた、熱く激しい青春小説〜 「情熱、たしかに受け取りました」 読後にそう言いたくなるような、 エネルギッシュな作品でした。
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嬉しくて涙が出ます。そんな風に感じていただけるとは夢にも予想していませんでした。いつも自分は いろいろに迷い足掻いて 結局 立ち戻ってしまうのは この作品で極端に濃縮した 『芸術は誰のためのもの?』という taro_hanabusaさんが 示して下さった その一点なのです。 〜フランスのモンパルナスに暮らした数多の芸術家たちと同じ、胸の内から迸るような若い創作意欲に満ちた、熱く激しい青春小説〜 これは最高の贈り物です。この言葉で きっとずっと頑張りとおせそうな気がします。自分の純情を捨てず 欲に走らず 芸術への情熱だけを鋭利に尖らせていける気がします。 本当に 力強い応援レビュー ありがと
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