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ひとりむすめ
綿花音和
2020/7/28 16:57
縛られた自分、それをとき解くのは……。
「ひとりむすめ」というタイトルに読んだ後では、様々な思いを投影しています。 読み始めは主人公を優等生で控えめで我慢しがちな娘だと感じていましたが、頑なともいえる意志の強さに頑固なのかなとさえ思いました。 謎に満ちた結婚生活。ぐいぐい物語に引き込まれました。 風景描写も心理描写も作者さまの個性がはっきり感じられ、心地よかったです。 不思議だった夫の声が妻には聞こえにくいという事象にも訳があり登場人物それぞれに傷や痛みを背負っていて、それをセンチメンタルに描いていなくて。逆に共感出来ました。 主人公の目線は賢く、でも年相応にアンバランスな部分はしっかりあって。 あるシーンではままならないのが人生と印象に残りましたが、物語の中でこそ残酷なところが描けるのかもしれません。 硬質なストーリーでした。だから反対にしなやかさが際立っていたなと。 縛られた自分を解くのは最後は結局自分なのだと思います。それでも友人や大切な人、ときに自分に悪意を向けてくる人も鍵を解くきっかけや助けになるのは人生の不思議だとも感じます。それが救いかもしれません。 痛くなるほど自分に誠実だった千代子ちゃん。選んだ選択は型どおりのものではなかったけれど、芯が通っていて良かったです。 ラストシーンほんのり希望を感じ、そして余韻が残りました。 うまいこと、八万字の感想書き切れませんが強くなれそうな勇気をもらい ました。 素敵な物語拝読出来て幸せでした。ありがとうございます!
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山下真響
2020/7/28 17:15
最後までお読み下さり、また素敵なレビューまでどうもありがとうございました! 千代子、かなり癖のある主人公でした。 様々な困難やトラウマと向き合い、他人からのアドバイスや影響を受けながら、どこかで成長を続ける物語です。 けれど、自分に対する責任を持てるのは自分だけ、自分を真に突き動かせるのは自分だけ、という雰囲気の彼女は、最後のはばたきも独りでした。ひとりぼっちだった千代子が、今度は堂々と胸を張ってアイデンティティを探し求め、一人前の自分を取り戻すための一歩。ひとりの、娘です。 一般的には、あまり良しとされない方法での旅立ちだったかもしれません。ですが、誰かの何かの助けや、よすがになればと思って
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