有栖川 露陰

『打上げ花火、下から見るか?横から見るか?』 アニメ版は評判が悪いですが、私は好きです。 なんか三島由紀夫『豊饒の海』に通ずる唯識思想の匂いを感じまして。。。 SF大作としてではなく幻想文学として観るべき作品じゃないかな、と感じます。 青春を遠く離れた大人からすれば、懐かしい過去は「かくもありえた」という観念によって歪められ、それこそ未来同然の、無限に変容する不定形のものになっている といった旨が『豊饒の海』で語られますが、「もしも玉」が生み出す数多の可能性は正しく青春を振り替える人が心の中に作り出した歪んだ過去(「かくもありえた」という幻想)そのものではないか、と私には感ぜられました。 しかし、全ては人の心のまま。 なずなちゃんも、のりみち君もあの夏には居なかった という虚無の地平にたどり着いてしまう事もあり得ます。唯識論を突き詰めていけば。 説明不足と批判されるラストも、私には『豊饒の海』第四巻『天人五衰』のラストが連想されちょっと身震いしました。 あの物語そのものが、老いたのりみち君の語る幻想ではないか?と考えると物凄く面白いな、と私は思ったりします。 私の感性は世間様から大きくズレてんだなあ、いかんなあ、 と改めて痛感した8月です。
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アニメより十代の奥菜恵をみせろコラアアアア!!って批判が多いのなら私も同心せざるを得ません。
確固たる現実世界はなく、私たちが認識する現実世界は、私たち其々の心が生み出したものにすぎず、その実態は空虚な砂漠(豊饒の海)なのかも知れない 色即是空、空即是色 と思うと滅茶苦茶味わいぶかい作品だと思うのですが、これはやっぱり贔屓が過ぎましょうか? しかし、原作(実写)の奥菜恵さんの美しさよ! うるわしきもの見し人は、はや死の手にぞとらわれつ!

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