taro_hanabusa

お昼のカフェの店内に、 「モンパルナスの灯」が流れていました。 古いフランス映画です。 もう終盤のシーンでした。 モディリアーニという画家の、貧困と死を描く本作は、ぼやけたような白黒画面の中にきらりと光る涙の印象的な名画です。 あらすじを軽く説明すると、この主人公のモディリアーニ、今こそ有名になってますが、生前は一枚も絵が売れずに、評価もされませんでした。 実力はあったようですが、 とにかく性格に難があって、 芸術家らしいこだわりで、自分の価値を高くも安くも売りつけらないという性分。 困ったことに顔は良く、女の人にたかって暮らしてバンバン暴力も振るいます。。 そんな最低男の彼が、やっと人並みに人を愛し、妻との生活費を稼ぐため、一枚5フランで絵を売り歩く途中で病に倒れるシーン……。 ちょうどわたしのご飯が届いた瞬間に天に召された彼に、しばし悲しみを感じてしまってお箸に手をつけられずにいると、 ウェイターさんが心配そうに、 「どうされました?」と聞いてきました。 「いや、あの、モンパルナスが……」 「……はい?」 悪いのはわたしでした。
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