りかりー

続き2 「知って、たのか」 銀の狼は瞬きする間に傷だらけのお兄ちゃんの姿になった。 力が抜けてくわたしを抱き締め返す。 「こんなバケモノだぞ、俺は」 「それでもいい……姿が変わっても」 目が霞んでく。 大好きなお兄ちゃんをもっと見ていたいのに。 「よせ、もう喋るな!すぐに手当てしてやる!約束しただろう。おまえが16歳になったら嫁にすると。今夜がその日だ!」 欲しくてたまらなかった想いをもらって嬉しくて涙が溢れた。 「うん。……わたし、お兄ちゃんのお嫁さんに、なる」 だから、 「……芝くん、お願い。お兄ちゃんを傷つけないで」 芝くんは殺気をなくして呆然とわたしを見下ろしていた。 「こんなはずじゃ、なかった。俺はただ」 人を守ろうとした。 わかってる。きっとそれが正義。 「ううん、いいの」 お兄ちゃんは人を喰らう恐ろしい妖しじゃないってわかってもらえたそれだけでいい。 微笑むと芝くんがハッとして、 「すぐ治癒の術をっ!」 お兄ちゃんの隣で跪いた。 「なっ!?術が効かないっ。そんな!」 「俺の力をやる!」 地に沈みそうなほど重かった体が、ふわふわと浮き上がる感覚がして目を開けた。 「わたしは……?」 芝くんが深く息を吐いた隣で、お兄ちゃんがわたしを掻き抱いた。 「……もういい」 芝、くん? 「人間を襲わない、喰らわないなら、調伏も必要ない。……傷を負わせて悪かった。ごめん」 肩越しに振り返り苦く笑うと、背を向けて芝くんは部屋を出ていった。 わたしはお兄ちゃんの頬の傷に触れた。 わたしを守ろうとして体にもたくさんその痕が残ってる。 お兄ちゃんは大丈夫だと言ってわたしの手を取るとくちづけた。 「帰ろう、俺たちの家に」 「うん」 銀の狼の姿になったその背に乗って、芝くんの屋敷を後にした。 その5年後。 「うわあ、なんだよこれ!可愛いすぎ!!」 去年生まれたケモ耳の子が芝くんに抱き抱えられてすりすりされてる。 あれから芝くんとは仲良くなってお互いの家を行き来してる。 「将来、俺の嫁にもらう!」 「誰が嫁にやるかよ。絶対にや・ら・な・い」 お兄ちゃんは芝くんの腕から我が子を抱き取った。 こうしてみんなで笑い合えることが幸せで、ずっと続いていくことを心から願った─── 完
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良かった🎵みんな幸せになれて感激😍
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