鬼の子

もう一人の『顛落』
この作品は、本当にリアリティを感じずにはいられません。 主人公の復讐により、何とも言えない残酷な結末へと転がっていくわけですが。しかし、この結末は、いつ誰の身にも起こり得る可能性のある『顛落』でもある、と感じました。 そして、主人公とその妻の、まだ家族だった頃から離婚した後までの出来事と心の心情を痛い程、表現がなされています。 しかし、この作品の真の残酷性と架空の続編を垣間見ると、その主観から一歩外れて、幼くも同じようにこの状況の経験者である娘の気持ちが浮かび上がってきます。決して描かれていない、その娘の想いは、如何程だったのか。どこまでいっても想像の域を脱する事はありませんが、それこそが真の深い傷でもあり、このような状況を考えさせられるべき、論点なのでしょう。 つまり、大人自身は色々考えて決断し、行動する。それが結果、モヤモヤとした後悔だったとしても、それを選択できたという自己責任がある。ところが子供には、それがない。毎回、突然起こる出来事に、選択野予知もなく、あっちへ行ったり、こっちへ行ったり。その子供の成り行きと心情こそが、分かるはずもない、顛落の足跡ではないでしょうか。 この作品で描かれていない、もう一人の『顛落』を味わった気持ちを感じてしまいました。 本当に色々と考えさせられる作品でした。 ありがとうございました!
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鬼の子さん、レビューをありがとうございました。 このお話は「明日は我が身」とも言える怖い話です。主人公である夫はこの事態を防いでみようもない立場でした。だから恐ろしいのですよね。妻の過ちから始まる家族の転落人生。またはどこにでもいる妻という立場の女性にも起こり得る話。 鬼の子さんの心に刺さったように、その最大の犠牲者は子供なんですよね。子供は身勝手な大人の行動により人生そのものを左右されてしまう。誰もがこんなことを予測して結婚などしていないのですが、どこかで、何か些細な部分で、転落が発動してしまう。 エブリスタの中では(とりわけ恋愛ジャンル)不倫や略奪や不貞行為をドロドロと面白おかしく派

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