北村准

ギャルゲーを通して成長する少年少女の物語。
──物語はいつだってハッピーエンドがいい。 多くの人がそう願っていると思います。 有り触れた普遍的な『日常』と絵に描いたような『非日常』。 波風の立たない穏やかな日々には心が安らぎますし、突拍子もない出来事に満ちた生活には心が踊ります。 だから、人生には正解なんてない。 『普通』を好んだって、『非日常』を願ったって本人が幸せなら、それはひとつの形だから。 本作は、そんな心から願った選択肢を掴み取ることができるかという多様性を問い直す物語なのではないかと読んでいて感じました。 ギャルゲーという作り物の世界を通して日常を知る一千夏と、部活動を通して非日常を知る主人公。 正反対の二人の構図はもちろんのこと、ギャルゲーをうまく作品の中に落とし込むことができたからこそ、クライマックスの説得力が増したように感じます。 人生はいつだってクソゲーだ。 日常はままならないことで溢れているし、願えば叶うほど生優しい世界は存在しない。 それでも、ゲームに例えた物語だからこそ、積み上げたものを駆使して、最後に用意された『ハッピーエンド』へと向かう展開が胸にじんわり沁みました。 ちなみにお気に入りはメイドの蔡未ちゃんです。 個性的なキャラクターが多い作品なので、今後のシリーズの掘り下げが気になるところです。 To be continuedというのはそういうことですよね! 続きを楽しみにしてます。
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