いい、いい、いいよ
「心が死ぬってこんな感じなんだろうか」  冒頭から引き込まれるこの一文と同じページには、対極の幸せの出来事、そしてそれは1ヶ月前のことだと。  そして青也と真白の二人の視点でそれぞれの状況・心情が描かれるもどちらも悲しさを含んでいる。なおも真相は明かされない。  そして一年後、真相は明かされるのだが、この二人はこの出来事があったことで一層幸せになるだろうなと思った。  この物語は心情の描き方が秀逸だ。心情と情景描写の一致もそうだが、なによりも心情の文字化がすごい。読みやすく、本当に語っているかのようにリアルで、リズムが良くて、そして感情を揺さぶられる。  だから泣いた。朝、電車で。幸せになれてよかった。そう、伝えたい。  これだけ文字数が少ない中で過去、現在、未来を想像させる描き方はすごい。文字以上に想像させられる、氷山の一角のようだ。  小説を読んで久しぶりに泣いた。  いい作品をありがとうございます。
1件

この投稿に対するコメントはありません