りかりー

2枚目 夜、眠る時は鬼の面を枕元に置いている。 寝入ってすぐに部屋に誰かが入って来た気配を感じて目を覚ました。 「誰……?」 薄明かりの中で銀の瞳がわたしを見ていた。 その視線に気づいて慌てて鬼の面を被った。 「顔を隠すな」 夜叉の指がわたしの頬に触れた。 「俺は素顔のおまえを見ていたい」 夜叉はそう言って鬼の面を外した。 夜叉に素顔をみられて顔が熱くなる。 そして、わたしは鬼の面をつけるのをやめた。 それから、半月ほど経った夜。 ガサッ 庭の方から物音がして、 「夜叉……?」 夜叉が遊びに来たのかと思って声を掛けた。 夜叉は昼も夜も関係なく遊びに来るからきっとそうだと思って……けれど。 バキバキッ 目の前で雨戸が大きな何かの爪で引き裂かれて、太い腕が戸を突き破った。 「きゃあっ」 「ウマソウなニオイがスル。クイタイ……」 赤い目をして耳まで裂けた口。 その口からはよだれが滴っている。 頭に角が二本ある大きな体の鬼だった。 「オマエ、クイタイ」 鋭い爪が伸びて喰われそうになった時、 「夜叉っ!!」 思わず叫んでた。 同じ喰われるなら夜叉がいい。他の鬼なんてイヤ! 夜叉はひとりぼっちのわたしと話をしてくれた。一緒に庭の花や木を眺め、時には屋敷から連れ出しては遊びに連れていってくれた。 わたしに笑うことを教えてくれた鬼。そうやって笑ってくれたらそれでいいと言ってくれた鬼。 「オニヨビをクラエバ、オレはモットツヨクナレル」 鬼の爪の先が髪に触れた。その時。 ザシュッ 目の前に伸びた鬼の腕が吹っ飛んだ。 腕のもがれた鬼がのたうち回って床に転がった。 「誰が俺のものに触れていいと言った!この女は俺の獲物だぞ!」 青みがかった銀の瞳が怒りに染まってる。 「ヒッ、タ、タスケテくれ」 助けを乞う鬼の首が跳んだ。 鬼の体は黒い霧になるとそのまま霧散した。 「……夜叉」 「怖かったな……遅くなった」 もう少しで体を引き千切られ喰われそうだった。震えが止まらない。 夜叉の腕が優しくて涙が溢れてくる。 夜叉は人ではない。 だけどそれでもいいと思った。 夜叉は震えが止まるまでずっと腕の中に居させてくれた。 その優しさが今のわたしのすべてだった─── 3枚目へつづく
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3枚目がこないんですが…

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