小鈴莉子

非常に考察しがいがある作品でした。
初めて感想を送らせていただきます、小鈴と申します。 読んだ人の数だけ、様々な感想があって当たり前なのですが、私はどの登場人物よりも、事件の黒幕である久ヶ原先生が気になって仕方がありませんでした。 彼女が何故凶行に及んだのか、作中でも触れられていましたが、個人的にはきっと彼女が生まれ育った環境も、あの結果に影響を与えたのでは…と、考えてしまいました。 作中で彼女が裕福な家庭で育ったこと、両親からとても愛されて育ったこと、容姿や才能に恵まれていたことが、読み取れました。 経済的にも精神的にも余裕があったからこそ、彼女は面倒見がよく、正義感が強い女性になったのではないでしょうか。 でも、だからこそ彼女は愛する婚約者の裏切りに耐えられなかったのでしょう。 正直、あんな男はさっさと捨てて、次の恋を見つけるなり、仕事に生きるなりすればよかったのになぁと思いました。 でも、きっと彼女は今まで他者から与えられる愛を疑ったことなんて、なかったのでしょう。 努力さえすれば、報われていたのでしょう。 でも、今回はそうはいかなかった。 待って待って、待ち続けてる間に、若さを失ってしまった。 たくさんのものに恵まれていたからこそ、婚期を逃したことを揶揄される度に、辛酸を舐めるような思いをしたでしょう。 そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、愛する両親も失ってしまった。 その時、彼女はもう自分には何も残されていないと思ったのではないでしょうか。 正直、彼女は何も知らずにいた方が幸せだったんじゃないでしょうか。 少なくとも、婚約者の本性を知ったタイミングが悪かったのは、間違いないのではないかなと思います。 彼女は決して浅慮な人間ではないと思いますから、間が悪くなければ、また違った判断ができたんだと思います。 でも、彼女は運が悪かった。 罪は罪でしかなく、彼女が加害者であることは変わりませんけど、私には彼女が可哀想な人に見えて仕方がありませんでした。 …長々とした感想を読んでいただき、ありがとうございます。 これから、S Sの方も少しずつ読み進めていこうと思います。 続きを読んでみたい気持ちもありますが、このお話だけでも綺麗にまとまっているので、ちょっと複雑な気持ちです(笑) それでは、長文失礼致しました。
2件・1件
感想ありがとうございます。細やかに考察いただけて本当に嬉しいです…! 久ヶ原は話を作るにあたり優先的にキャラクターを肉付けしていったので、その意味でも愛着というか、思い入れがあります。 本来であれば一人でも生きていけるはずだった女性が、愛した男によって狂っていく。外野から見ればなんで?って思いますが、当人にとっては深い絶望だったのかなと思いながら書きました。感情に振り回されるのは人間の強みであり、弱みでもありますよね。

/1ページ

1件