吉野伊織

社会の有り様を真正面から問い質す強さ
丁寧に練り上げられた、重厚な文章で綴られた刑事モノです。 刑事の相対にいるのは「マイノリティ」。様々な少数派はいるでしょうが、この作品で扱っているのは社会的に理不尽を押し付けられ、そういった「個」であることを苦しんでいる人々です。 どちらの事情も見えてくると、己の中にある道徳的な概念を揺さぶられました。同調圧力に流されることの罪悪から、目が逸らせない。 読者の中にある様々な定義を、静かな言葉で抉るように問う手腕は、作者ならではだと思います。また、随所に見える硬質な表現力が、内容と相俟ってとても魅力的です。 内容が深まるにつれ、タイトルにある「鴉」の意味もわかります。 ラストをどう受け止められるかは、本当に分かれるところだと思いますが…… 私は、世界はそのように変われると信じたいですね。 今よりも、少し優しく。
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吉野様のコメントを見るたび、私が書きたかった思いが伝わったのだと嬉しく感じておりました。 この世界はまだ、マジョリティでないとされた人々がヒエラルキーの下層に組み込まれるという理不尽さが消えていません。 吉野様のおっしゃる通り、〈道徳的な概念〉を少し広げたいと思って書き綴っていた次第です。 最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
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