水谷遥

過去最大級の絶賛
 鷹取様作品、何作も読みましたが、  今までで、ダントツに良かったです!  圧倒的に良かったです!  がっつりハードなBLです。濡れ場が大半を占めている作品ですが、随所に光るものがありました。  「分かっているのに、面白い」  最序盤がゴールインした後の主人公と王子様がイチャイチャしているシーンから入るので、もう素性は初めから分かっています。ですので、「実はあの人が王子様でした」ドンデン返しは使えないはずです。  使えない「はず」なのです。  余裕で使ってきました! 初めから提示されている展開なのに、王子様が登場した時に涙が出るくらい感動しました。「手の内くらいバレてても、平気だから」的な余裕に打ちのめされました。  これを成立させていた点が二つ。一つは「細かなストーリー的伏線」と「大きな構造的伏線」です。 「ストーリー的伏線」とは、物語の進行上、起承転結を整える為に使われる伏線。 「構造的伏線」とは、物語の構造上、要求される事態への伏線。  私の造語です。  本作で説明すると、プロローグでは「妹の結婚式」のシーンから始まります。それを遠目で(森の中で)見る主人公と王子様が、さっそくにイチャイチャするわけですが、この「妹の結婚式」は設定上の伏線になります。 「なぜ、妹の結婚式をこんな場所(森の中)から見ているのか?」。  これが第一の謎になりますが、これはストーリーを動かす為のおあつらえ向きの伏線であり、本来見せるべき「構造上の伏線」からミスリードを誘います。 「構造上の伏線」は、主人公と王子様が既にラブラブな点です。  今作の「起」は、非常に複雑で、かつ理想的な複雑さを持った「起」になっています。あの序盤だけを見て、この後がどうなるのか、大抵の人は分からないと思います。物語進行のベクトルが何方向にも伸びているので、どこが作者の狙いなのか分かりません。  これは、指摘ではありません。むしろ、理想的な「起」です。  かなりの読者が「妹」が焦点になると錯覚したはずです。  ところがどっこい。次章からは主人公二人の濡れ場で話が進みます。妹なんか出てきません。ミスリードで視点をズラされた上で、構造的なテーマを存分に見せ、始めに目くらましを受けたせいで、男が「王子様」と判明した瞬間に感動してしまいます。 (二千文字の絶賛を省略)  素晴らしい作品でした  
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毎度毎回、熱き書評を頂き誠にありがとうございます。 今回の過分なまでの評に私の感謝のメーターはとっくに振り切ってしまい、恐縮に至っております。 ――もしかしたらこの作品が私の白鳥の歌になるだろうか?と、鷹取だけにチキン(弱気)になるほどでした(笑) まさか構成を指摘、評価されるとは予想だにしておりませんでした。 執筆中は「人名・地名以外のカタカナは使わない縛り」にとにかく必死だったもので。 上記のように何時もの如く全くの感覚で書いた本作ですが、本当に白鳥の歌にならないように次々と作品を書いていきたいです。 過去最大級の感謝を込めて。

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