待宵

何がフェイクで、なぜフェイクなのか
作品は、14歳の女の子のありきたりな日常から始まる。両親のいない彼女の生活は孤独であろうが、でもどこか頼りない『姉さん』からの愛でとっぷりと満たされており、流れる穏やかな時間にほっとしながら、何より傘下さんのとてもさりげない、つまり過度でもなく少なくもない、ちょうどいいバランスの文章に安心して物語に沈んでいくことができる。 そして後半で、彼女と『姉さん』との関係、何がフェイクで、なぜフェイクなのかが、誕生日プレゼントであるフェイクファーコートを通して実に巧みに明かされる。 彼女はやがて、どのような形で『姉さん』に別れを告げるのか。それは彼女が自分の手で、痛々しくも、でも尊い青春を終わらせる日となるのかもしれない。大人になった彼女が、フェイクを被る必要のない愛を手に入れ、幸せになることを願わずにはいられない。 傘下さんの作品はどれも、なかなか物語に入り込めない性分である私を、とても軽やかに、あっさりと引き込んでくれます。すごいのがそれが最後まで続くことで、気が付いたら最後のページをめくり終えてしまっています。読後はきれいな夕陽が沈むのを見送っているような、年を取ってから母校の校庭を眺めるみたいな、そんな表現し難い切なさに浸ることができます。何が言いたいかというと、とにもかくにも傘下さんの文章が好きで、色んな方にお勧めしたいということです。
1件・1件
待宵さん、感想ありがとうございます。 待宵さんがくれた言葉の全てが嬉しくて嬉しくてたまらず.......どこからお礼を言えばいいかわかりません、もう本当にすべてが嬉しいです、ありがとうございます。 わたしは書いてる最中はキャラクターのこれからを全く想像しないので、わたしにも彼女がどう青春を終わらせるかは予想もできないのですが、どうか幸せで、と願います。待宵さんも願ってくださり、ありがとうございます。 読後、切なさに浸っていただけましたか.......!! よかったです。わたしってば、それを目ざしてそんなものばかり書いちゃうので、そう言っていただけて嬉しいです! 加えて他のお話も読んでくださ

/1ページ

1件