潜水艦7号

プロフェッショナルの一品
NHKの「プロフェッショナルの流儀」では、しばしば老舗を引き継いだ苦労人の息子が、店を盛り上げて繁盛店にする歴史が語られます。 そうした時、最も言われるのが「先代に比べて、味が落ちた」というセリフです。 無論、引き継いだ息子もズブの素人という訳ではなく、それなりに先代の元で修行をしてきた経験があるにも関わらずです。しかも、当人には「その違い」が分からない。その葛藤は普遍的な物のようです。 この物語でも主人公はその葛藤に頭を悩ませるのです。そして「小豆に縛られた和菓子そのものが時代遅れなのだ」と考えるのです。だから「売れないのだ」……と。 ですが、真実はそこにはないのです。そして自分に無理解だと思っていた祖父の教えこそに、その真理があるのだと悟ることになるのです。 こうした葛藤を描く場合、得てして「読者に気持ちを伝えよう」とし過ぎて演出や描写が過剰になってしまい、読み手に「重さ」を感じさせるものなのです。しかしこの作品は実にその加減が素晴らしく、サラッと描写しながらもチャンと苦闘と心の変化が伝わってくるのです。無駄な言葉を削ぎ落とす勇気というか、流石は妄想コン入賞常連、流石の実力と言っていいでしょう。 また、作者様はその創作に関して緻密な取材をされるので有名なのだそうです。今回もまた、まるで自身が和菓子職人であるかのような巧みな描写と知識で溢れており、「どれだけ調べたのだろう」と圧巻の一言でありました。 まさに、イノウエ佐久流・プロフェッショナルの流儀を見た気分です。
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潜水艦7号さん!今レビューに気づいてしまいました💦遅くなって申し訳ありません! 私が言いたいことを全部詰め込んでくださり、この頂いた感想をあらすじにしたいくらいです。そして文章褒めていただけて、もんのすごく嬉しい( ;∀;)ありがとうございます。 書き方の拘りも見抜かれてしまい、潜水艦7号さんこそ、言葉の用い方に用心深さをうかがわせます。 素晴らしいレビューありがとうございました。゚(゚´ω`゚)゚。
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