りかりー

如月さん、毎日応援ありがとう! お礼にミニ話をプレゼント(*´∇`*) 「ゆうっ!!」 崩れるように倒れたわたしを龍神さまが抱え叫んだ。 何が、起こったの? 振り向くと幼馴染みの孝太の手には血の付いた太刀が握られていた。 顔を上げた孝太は焦点の合わない目で、太刀の先を見る。 次の瞬間に、孝太の口から黒い靄が吐き出され、その黒い靄は膨らみ巨大な蛇になった。 「邪神かっ!?」 「龍神になれず邪神に墜ちた蛇め!」 わたしを抱えた龍神さまの手が真っ赤に染まって、命よりも大切にしていた珠が流れてく。 ああ、わたし死ぬのかな。 龍神さまの体が震えてる。それが答えだとわかった。 「待ってろ!絶対に助けてやる!」 九尾の狐が叫び元の姿に戻り毛を逆立てて黒蛇に躍り掛かる。鬼は長い爪で蛇の目を切り裂いた。 孝太は蛇が抜け出ると我に返った。 「俺は、なんてことを!」 「孝太は悪く、ないよ……」 蛇邪神に憑かれただけだもの。 微笑むと口から熱いものが滴った。 「助けて、やる!」 龍神さまの震える声に、 わたしは最期に龍神さまの頬にくちびるを寄せた。 力を失くしてくわたしを龍神さまが震えながら抱き締めてくれた。 静かに目を閉じ、龍珠が龍神さまの手に戻ってく。 お返ししますね、龍神さま─── ※※※ 絶望に打ちひしがれる。 失ったものは魂の片割れ。もう二度とこの手には戻らない。 天を仰いで魂の片割れを手に抱き上げると空へと舞い上がる。 『天よ、叫べ!』 青かった空が一瞬にして雨雲に覆われ雷が落ちる。風が吹き荒れ、雨も雹も地を叩く。 あの心優しい娘に神もあやかしも救われた。 その笑顔に、その小さな手に心が救われた。 それを一瞬で失った。 バキバキドドーンッ 天の怒りと悲しみが黒蛇を貫いて、真っ黒に焦げた黒蛇は粉々になり吹き飛んだ。 龍神に残されたのは、魂を失った片割れの身体だけ。龍神は手の中の娘に頬擦りし、大粒の涙を溢した。 二度と龍の珠は命を繋がない。 それでも龍神は奇跡を信じて龍珠を娘の胸元に置いた。 「俺の尾を分けてやる。必ず助ける!」 「もちろん俺の頭の角もやろう。神力と妖力を合わせればどうにかなるかもしれない!」 「俺だってこいつのためなら!」 皆が龍珠に手を翳す。 奇跡が起こることを信じて…… 2枚目につづく
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いつもありがとうございます!ミニ話楽しみにしていました。
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