天川夏織

まるで映画を見ているようでした!
他の物語ともつながる作品ですが、単独に読んだレビューです。全体的な印象は読後感がとても良いです。絵の道に進もうとする千裕の葛藤と克服が綿密に描かれていて、最部員との別れの時が近づきつつある中で希望の光が見えてくるラストへと芯が一本通った完成度の高い短編になっていると感じました。「抽象画」が千裕の苦悩の主題になっていて、ポイントが定まっているので、読んでいてとても分かりやすかったです。さらに本人が葛藤する内面を描く場面と、南君やおばあちゃん、部長などとのやりとりで千裕が少しずつ変わってゆく姿を描く場面にメリハリがあって、千裕の心の変化の過程に読み手も一緒に納得できるようになっています。また導入時の南君とのやりとりも最後にうまく回収されていることや、この物語では本人が登場しない公ちゃんの描き方など、小説手法として唸るような面が多々ありました。全体のバランスもよく、コンパクトに濃縮された贅沢な逸品だと思います。素晴らしい小説ありがとうございました。
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夏織さん、大変に素敵なご感想を賜り、とても嬉しく、また恐縮しきっております(´;ω;`) こうした方がいいかもしれない、こうしない方がいいかもしれない、と、作中の千裕よろしく葛藤を繰り返しながらも、良いものを創りたい一心で書き上げた本作です。 作品の細かい機微から全体までしっかりと感受して頂けて、心から報われた思いになりました。 頂いたご感想を何度も読み返して、その度に励まされました次第です。 本当にどうもありがとうございました!!

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