佐倉さく

創り出すのは、きっと自分と対話すること
 何かを創作する人は、きっと冒頭から主人公と同化してしまうのではないでしょうか。  何かを生み出したい、表現したいというのはすごく当然の欲求で、少しずつ上達することに純粋に喜びを感じる。  でも。  いつしか、それは評価を求めるものに変わっていき、自分が創り出したいものとの不一致に悩み始める。  求めるのは、きっと他の人が受容してくれるという実感なんじゃないか、と思うのです。  絵画という手段は、アウトプットに最も適しているのではないか、と感じます。  言葉にはならない、自分自身のなかでも解決されない複雑な何かを色や形、筆遣いで多彩に表現する事ができる。  油絵であれば、なおさら、絵の具の上から何度も塗り重ねて、さらに複雑な表現を作る事が可能です。自分の中にある情動を外出しする時、それは自分にメスを入れて、断片ごとに問い詰めていく作業かもしれません。  時に辛くて、苦しくて。  それでも、創作者はきっとやめる事が出来ない。永遠に答えの出ない問いが、さらに膨らんでいく。  けれど、「初心」を中心に置く事で、きっとその苦痛は喜びである事を実感できるのでしょう。  長い暗い夜が、鮮やかな朝焼けとともに光に包まれていく、そんな情景が目に広がるような、素敵な物語です。
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佐倉さん、ありがとうございます。 まだお知り合いになれたばかりですが、他作品をご高覧なさった上で本作をお読みくださり、こんなにも心のこもったレビューを頂けましたこと、感服しきっておりますm(_ _)m 誰にでも創作と向き合う事で自我の価値や在処に苦しみますよね。でもだからこそ人の胸を打つものを作り出す事ができると思うのです。 孤独は確かに必要な要素ですが、それを理解した上でこそ他者と関わり合う事で生まれるエナジーを私も信じたいと思っています。 佐倉さん、本当にありがとうございました★☆
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七星様  コメントありがとうございます。  感動を言葉で残したくて、書き逃げするような気持ちで書いたので、不快に思われるのでは、と心配していました。  お言葉をいただけて、とても安心しました。    孤独の辛さを知ってこそ、他者と触れ合う喜びを知る、どこかで聞いたことがあります。  感情を掘り起こすような七星さんの小説は、とても深いところに響くようで、読んでいて心地いいのです。また、色々とお邪魔させてください。
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