青春の色を
時間も距離も越えるものが、この登場人物二人にはありました。幼い頃からサッカーに打ち込んでいた幼馴染みの男女にそれが何かと問うにはあまりに野暮で、それに気付いていくこの成長の物語は、淡い想いも乗せた素敵な青春短編小説でした。 序盤は主人公の心の麻痺を。中盤には無痛の我慢を。そしてクライマックスからラストに掛けて微かな熱を。それぞれに、私は色彩を感じました。 序盤には無彩色。 中盤には白。 終盤はほのかな暖色。 この作品は、青春の色を教えてくれる。何かに懸命に打ち込み離れてもその尊さに焦がれる想いは、まるで色彩のように曖昧でまさに青春の不明確さがあるのだけれど、この作品に感じたそれらはこの二人には同じ色彩でいつまでも胸にあったのでしょう。 読み終わり、私の胸の中も暖色に染まりました。ありがとう、どうか二人ともがんばって。そんな事を祈ってしまうような、ちょっと幸せな気持ちの読後感。 素敵な青春短編小説、どうか触れに来て欲しい。
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情景を色で読みとく感覚、素敵です(*σ´ェ`)σ。 いつも素敵な感想、ありがとうございます😊
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