いつかの世界へ
この地球上のどこかには、いるかもしれないと思う不思議な存在。 そしてあと10年(?)後には、実現しているかもしれないと期待してしまう医療革新。 ファンタジーのような世界が、絶妙に科学に裏打ちされています。 だから、「どこかにきっと」「いつかきっと!」と信じたくなってしまうのです。 主人公の愛理と航太は、世にも不思議な縁で結ばれています。 愛理は安曇財閥の令嬢にして、才媛。 スタンフォード大学を飛び級するほどの頭脳の持ち主だけれど、 彼女の飛びぬけた才能は勉学にとどまらず、パイロットとしても活躍しています。 そして航太もまた、若くして医療革新の研究の最前線で活躍するスーパードクターです。 まさにエリートと思われた二人には、秘密がありました。 そして、二人の運命的な出会い。 津波のように押し寄せる波乱に、それぞれの能力を活かして立ち向かいます。 飛行中のトラブルにはどうなることかとドキドキ! そして襲い掛かる安曇グループ企業の危機……。 どの波乱の結末も驚きに満ちていますが、私が一番の驚いたのは、 医療の発展の途上にあって引き起こされた悲劇でした。 物語の根幹をゆるがすその事実は、物語の色合いを染め変え、強いメッセージになっているような気がします。 今は信じられないような医療や科学技術の革新であっても、物語の中では、現実のように感じます。 そして読後も、夢のような世界が、やがて近づき、いつか人類が手にできるような気がしてくるのです。 それは、近未来の電気自動車ボルトが、とても自然に物語の中で描かれたり、それよりもさらに魅力的な、秘密道具のようなオリジナルの道具(ぜひ作中でご確認を!)ですら、リアルに描かれているせいかもしれません。 未来に手が届くような、そんな気がするのです。 そして科学技術と医療の革新の原動力となるものは、愛でした。 血のつながりや恋愛を超えて、命への愛があり人を繋いでいく……。 愛理と航太には、これからも多くの妹たち、弟たちが生まれていくのでしょう。 いつか、きっと……そう願うことが出来る、 とても素敵な近未来体験ができる物語でした。

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