佐倉さく

楽観的でいられるのは、そうあろうとする強い意志があるから
 主人公はまる子ちゃん。  ちびまる子ちゃんに似てるからではなく、外見がまんまるだから、蔑称として付けられたあだ名です。  でも、主人公はそんな事を思ったりしません。その外見を自分の長所ととらえ、積極的にそのあだ名も広めます。  外見で差別される事を苦しんでいないわけではありません。その痛みをちゃんと感じた上で、彼女はそこに囚われず、さらに自分を肯定するのです。  ちょっとした事で、ウジウジ悩んでしまう自分からすると憧れの存在です。  でも、きっと、そうやって落ち込んでしまうのも、そうある事を自分に許してるからなんですよね。ネガティブで、他の人を不快にさせてしまう。本当は、そんな自分でいたくはない。 ちゃんと、強く、自分を肯定して生きていきたい。そうで無いと、自分と関わってくれる全ての人に対して申し訳なさばかりになって、自分の殻にどんどんこもってしまう。  まる子ちゃんはそんな固い殻のそとから柔らかく声をかけてくれるんです。  決して無理やりその殻を壊すのではなく、簡単に心を開けない事に呆れるわけでもなく、辛抱強くずっと見守ってくれる。固い殻の中でで最後に残った僅かな自尊心まで壊してはいけない事、きっと知っているのでしょう。  SNSなどで拝見すると、多くの人は閉じこもってしまった本人を間違っていると責め立てます。自己啓発本や心理学、哲学書などの記述を用いて、そうでない、そうあろうとしない本人が悪い、と。  でも、なりたい自分でいられない、装う事すらうまくいかない。悉く自分を責め、どうしようにも立ち行かなくなるときがあるんです。  そして、そんな時ほど「自分が悪い」と責める情報を取得してしまいます。  まる子ちゃんの存在は、とても暖かいです。  無神経で楽観的なのではなく、痛みを知り、苦しみを知り、そしてだからこそ親友を見放さず、あえて揶揄い、明るい反応を引き出す彼女の存在にとても癒されます。  前作「プールサイドの足跡は、真夏の日差しでも消えない」と共に本当に素敵なお話です。    
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佐倉さくさん、この作品には過分すぎるような感想・レビューをありがとうございます😭。 手先が不器用、行動が不器用、患者が不器用……みんな、なりたくて落ちている訳じゃない。そんな不器用な人たちの背中を押して助走をつけさせて、自分で進めるようになったら手を離す。 そんなまる子の様な人になりたいものです✨。
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