清も濁も包み込んで支え合う二人の愛が紡ぐ第一部
出会いは偶然だったかもしれない。けれど二人が手を取り合ってから固く握り合い、ただただお互いを想い、共に生きようとする眩しいほどに強い意思を見せて頂いて、二人が惹かれ合うのはきっと必然だったんだと思いました。私もただただ二人の無事と幸せを願いながら読ませていただきました。 人を助けるために今できる最善と思えば躊躇わず嫌われ役を買って出る、その優しさを幼い頃から青年になっても持ち続けているルーベルト。精霊と心通わせ、義父や仲間を大切に思う純然たる慈愛の心を育んだロージー。こんな素敵な二人が、自分では相手を幸せにはできないんじゃないかと相手を想うが故に求めないという〝優しさと弱さ〟も見せながらも、『清も濁も飲み込んで二人で一人、お互いに欠けたところをお互いで埋め満たして生きていこう』と二人がしがらみを越えてしっかりと結ばれ合った時には、なんて熱い愛なんだと何度も胸が締め付けられました。二人の愛に焦がされたという方が正確かもしれません。 大きな運命が動く中で、二人の愛を目に焼き付けさせていただきました。何度も涙が浮かびましたが、ルーがロッシュとエレクトラの対峙を必死に見届けようとする場面でのルーの思考に、胸にぶあああっと込み上げてくるものがありました。本当に大切に想う相手だからこそ、そういう思考になるんですよね。自分の状況なんて二の次。ああもう、なんて愛なんだ! そこからの「救ってやってくれ」ですよ。涙が零れました。最期なんて言ったんだろう、と不思議に思いながらの次のページで、涙腺が完全に崩壊しました。ああ二人は本当に二人の未来を思い描いていたし、本気で守ろうとしていたんだと、読者の私も二人の大人になった姿とか子どもと三人で手を繋いでいる姿とか想像して、このページでかなりの時間手が止まり、浸っていました。 こんな現実受け止められない…! と思いつつも、ロージーの運命は動き出したばかり。既に目が離せないどころか時折まばたきを忘れてのめり込んでしまっているので、おそらく次部以降は呼吸も忘れることがありそうです。 (続きます↓)
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二人の愛を中心に語ってしまいましたが、それはこの作品の魅力の一部。宇宙を一つ創造するかのような壮大な世界設定、目の前で生きているかのような血の通った魅力的なキャラクターたち、時には人のささやかな営みを、時には人の穢れも丁寧に描きつつも、そんなのはちっぽけだと思わされるほどの次元違いなフルデルの脅威とその地獄絵図を読者の目に浮かばせる、その文章力・表現力。私はここまで作り込まれた作品に今まで出会ったことがありません。私が読んでいるのは物語ではなく、どこかの世界の史書なのではないかと錯覚する時があります。 ちょっと反れちゃいますが、ロッシュが来てくれた時も泣きました。安堵の涙で。かっこ良すぎです
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 素晴らしい感想をありがとうございます<(_ _)>  まだ第一部なのに、まるで長編一本を読み終えたような湿度の高い感想に仰天してしまいました。あれ?これは私の作品なのだろうか?と自分で疑ってしまうほどで、何度も読み直してしまいました(笑)  実はこの「運命の囁き~」は、初稿では第一章と第二章は無かったんです。プロローグの後、ルッソの件でアジトに集まった一味がエレクトラ襲撃を知らされるシーンへと繋がるんです。なので、フルデル襲撃にすぐに移行するという展開でした。こうすることで、物語はすぐに動き出すのを思い描いてました。  物語を通して、ヒロインであるロージーが時折過去を回想するシ
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