Gacy

職を失い郷愁に浸る男がみた,夢では片づけることのできない,ひと夏の出来事。
四十を前にすべてを失った男は,幼い頃に過ごした故郷に残る廃墟を訪れる。なぜそこへ行ったのか,なにが男をそこに引き寄せたのか,すべてが謎であり読み手の想像を掻き立てる。 昼と夜の境目である逢魔時,男は廃墟で出会った白い少女と,その少女の心痛い過去を知り追懐の涙を流す。やがて心に残された切ない想いと,決して約束されたわけではない不安定な未来が交錯する。なぜ腕時計が男の腕にピッタリだったのか……陽が落ちるようにすべては謎のまま,微かな優しさと希望を残して静かに幕を閉じる。 作品のなかに潜む残酷さと意図的に残された微かな希望によって,読後に残るのは希望か絶望か……読み手によって感じ方の違う作品に仕上がっている。
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素敵なレビューをありがとうございました! 書いたのは最近ですが、ずっと前から温めてきたストーリーです。 今でも目を瞑れば、少女の足音が聞こえてくるようです。 小原ききょう
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淡く切ない,それでいて残酷なお話でした。 やっぱりホラーを書く人は決して滑らかで穏やかな情景だけを文字にしないんだなぁ~と変に納得してしまいました。
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