鵜木曽 銘

もどかしさに引き込まれる
まっすぐに気持ちを伝えられない主人公と、迂遠なやり方で動く周囲の人物のもどかしさ、回りくどさ、そういったものを押しだした作品で、いわゆる「甘い」恋愛小説とは全く違った読み味の作品でした。ある出来事が起こって、しばらく(あるいはかなりの)時間が経ってから、その出来事の裏で何が起こっていたのかを知る、そこで立ち現れてくる後悔というものが良く表現されていたのではないかと思います。ちなみに奏さんの無垢な悪女感はとても好きです。  さて、文章について少し書きたいと思うのですが、この作品では短い文を多くの改行を交えつつ並べていくもので、形式のみに注目すると「詩」に近いものの様でもありました。私個人としてはこうした形式の文章で進められていく小説というのはあまり好まないのですが、この作品では不思議とこの形式が内容と調和して、良い効果を出していたのではないかと思いました。というのも、こうした形式の文だと「余白」や「間」と言ったものが多く発生して、一種のもどかしさのようなものを感じるのですが、この作品は登場人物たちの迂遠さ、もどかしさ、そこから発生する一種のイラつきのようなものを描いているため、こうした形式の文章がそれをさらに引き立てる効果を出せているのではないかと感じました。これは面白い。ただ、台詞の後に発言者の名前を付す、という仕方は抵抗がありました。もちろん様々な文章の書き方があって、一概にどれがいい、なんて言えるはずもないのですが、私としては(私個人の感想です、他にも様々な意見があるでしょう)文章に組み込まれる形で発言者を示している方がすっきりとしていて読み味が良くなるように感じました。  まだ連載中という事で、これから話がどのように展開していくのか気になるところです。
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鵜木曽 銘 さま コメント 有難うございます とても嬉しくて何度も読み返しました セリフの後の名前 あれは自分の癖のようなもので けっこう指摘されます💦 なおさなければ・・・ と思っているのですが なかなか改善できなくて 今の悩みでもあります このお話は 今日、完結します もし宜しければ 最後までお付き合いいただければ 幸いです 有難うございました
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