運命を拓く
十代。その小さな器の淵で揺れている、二人の男女の春の一日のお話です。私が激奨する短編小説。 冒頭から淡々と、まるで体温を感じさせない描写で綴られる時間は、主人公が屋上は辿り着く中盤まで続きます。そこで出会った二人。読者は、二人が全く再反対の運命の最中にあることを知ることができます。明確には語られていないそれらにお互いに対峙出来ていない事に、少女は魂の叫びをぶつけていきます。 7ページ目。クライマックスともいえるこのシーンは、目一杯の感情移入の中で泣きながら何度も読みました。 花ひらくことに背を向けず、どんなさくらもつぼみをふくらませようとする。 そんなメッセージを、私達はこの物語から受け取ることができるでしょう。 互いをきっかけとして、二人が運命を拓いた事を願わずにはいられない。素敵な小説を、ありがとうございました。
4件

この投稿に対するコメントはありません