誰にも書けない澁谷文学の神髄
 澁谷氏の小説は感性豊かであり、文章がゆったりと柔らかく結末まで流れていく。  何度も書いているが、氏の文章はよく練られており、小説を読むというより心の耳で朗読を聞いているような気持ちになる。  こうした独特の文章を書く人はエブにはおらず、澁谷氏の文学的才能の高さを証明しているかのように思う。  ハッキリ申し上げればエブに「青森リンゴ」という投稿者がいるとして、その人が他の投稿者、「山形さくら」という名前で作品を発表しても何ら違和感を感じないことが多い。  ただ澁谷氏の場合、この独特の作風は「澁谷沓」という名前でしか発表することはできない。  美しく流れる小説は、「澁谷沓」というひとりの作家にしか書けないのである。  そしてもうひとつ重要なことは、澁谷氏の多くの作品の根底に、純粋で深い主張や理想、思いがあり、読む者に自然とそれが伝わってくる。  この作品を読み終えたとき、心ある人は心臓がえぐられるほどの哀しみを感じ、今生きている人間のひとりとして何が出来るかと目を閉じて考えるだろう。  みちのくの海の底には今も哀しみが眠る。  この作品をいつかハッピーエンドで終わらせる日が来ることを願ってやまない。  多くの人にこの作品が愛読されることを信じる。    ~ 4月18日 青森のりんごバターでトーストをかじりながら書く~    

この投稿に対するコメントはありません