潜水艦7号

「売れる」のではなく「売る」
何しろ驚いたのは「スーパーの販売とは心理学なんだ!」という点です。 魚釣りの世界ではよく「釣れた」と「釣った」は違うと言います。 「釣れた」とは、全く意図しなかったところへ偶然に魚が掛かった事を意味し、「釣った」とは状況に合わせた戦略を組み立てて釣り上げる事を意味します。 この作品のタイトルは「物を売る」です。「売れる」ではなく「売る」。 ただ黙って陳列をするのではなく、そこに一定の意図をもたせることで、大きく売上を左右させるという。 的確な状況判断、現場の状況、人員配置、コスト……こうした「裏側」はその世界の舞台裏を知っている人間にしか描けない、まさに専門家の一作だと思います。 この作品のとても好きな点に、主人公が実にアクティブに動く事があります。 こういう組織物は、ともすると周囲に流される人物像を描きがちなのですが、主人公は「もう後がない」と決定しているにも関わらず、全力を尽くして戦うのです。その姿は、「自らが動いて世界を替えるのだ」という読者に強い感銘を与えてくれます。 この作品を読んで、普段通うスーパーもその陳列やラインナップにその意図や魂に思いを馳せるようになりました。 とても面白い、ハートフルな物語だったと思います。
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潜水艦さん 嬉しすぎるレビュー、ありがとうございます😭 私は今の仕事以外はスーパーのバイトしかしていません。その時、思ったのは潜水艦さんに感じていただけた通り、お店のありとあらゆる事はひとつひとつに誰かの意思が入っているのだと。後はお店が潰れたらパートバイトは職を失うと言う危機感を持って働いていると言う事。その為に社員が必死に動いている姿。この事だけがずっと頭から離れませんでした。 細かい事は調べたりしましたが、経験が役に立った作品は初めてでした。 本当にありがとうございました😭
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