有栖川 露陰

中々手が回らない拙作『黎明のカイゼリン』ですが、筆は進みませんが主人公の内面や今後を「知る」ために色々頭を捻っております。 ときに本作のラスボス、バッハオーフェン総統閣下ですが。 この人、よくよく読み返してみたら緊急時に『内書』とか『教書』というプライベート・メール形式の命令を部下に乱発してます。 大元帥にして帝国宰相を兼ねるくせに、大本営とか総統府からの正式な公式文書ではなく、「お手紙」をバラまいてます。 これは、総統閣下が権力にものをいわせて、マトモな政務の手続を無視した「慢心の象徴」 とみることも、 成り上がり者で、内閣や軍部に沢山の反対勢力を抱える総統閣下が円滑かつ迅速に緊急事態に対応するためには、略式の手続きに頼らざるをえないという「総統体制の脆弱さの象徴」 とみることも出来ます。 作者の当初の想定をこえて、何だか深読み出来る部分が生まれてしまいました。 作品は発表した瞬間からおのずと作者の手から離れて動き出すもんだな、と痛感しました。
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最初は何かカッコいいから『御内書』とか『御教書』なんて中世っぽいワードを使っただけでした。 あと、それっぽいから何となく盛り込んだ『総統府典厩総監(そうとうふ・てんきゅう・そうかん)』とか謎の官職も多々あります。 総統閣下の親衛軍は、帝国正規軍とは別に、独自に軍馬を調達する必要があるんだと思います。 たぶん親衛軍は、正規軍とは別の予算で賄われているのでしょう。ナポレオン1世の皇帝近衛軍団みたいに。

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