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物を売る
倉橋
2021/4/21 14:41
ビジネスを超えた「心」のストーリー
朝永氏の小説はよく読まれており、この作品も既に1000☆に迫っている。 今更感想も気がひけるが、この作品の魅力を語ることで多少朝永氏のお役に立てたらという思いで拙い文を書く。 この作品は、一種のサクセスストーリーである。 女性の責任者が赤字のスーパーを建て直すという内容自体は前例がいくつか思い浮かぶ。 この作品の魅力は、主人公の女性が結婚のために退職を控えているという設定を設けたことで、最後の仕事が成功するか否かという緊張感で最後まで引っ張っていく。 また主人公の婚約者が、旅館の後継者という設定も、作品の展開上、大きな意味を持つ。 主人公のキャラクターを際立たせるばかりではない。 ストーリーを進める上でも成功していると思う。 私は店舗にいたから承知しているが、作品中に出てくる「機会ロス」などの専門知識は一般の人はあまり知らないことであるし、スーパーでアルバイトやパートの経験がある人も、そこまで専門的な教育を受けてはいない筈である。 そのため、主人公が専門知識を駆使して売上を伸ばしていく展開は非常に新鮮で面白く読むことが出来るではないかと思う。 読者というのは、自分の知らないことには興味を持つものであるし、それが私たちの生活に密着したスーパーマーケットの世界の出来事ならば尚更である。 そしてこれが重要なことだと思うが、主人公の販売戦略のコンセプトには、「働く人々のやりがい、幸せ」「買い物客の満足、幸せ」を実現するという単なるビジネスを超えたあたたかい理想があり、これが読者に深い共感を与えるのではないかと思う。 職場会議のシーンでのやりとり、主人公が最後に自分の経験を語りかけるシーンこそ、この小説の真骨頂だと思う。 私の好きなシーンだ。 要するにこの作品は単なるスーパーの再生を描いたビジネスストーリー、サクセスストーリーではない。 朝永氏の多くの小説に共通するテーマ、「あたたかい心」を根底とした理想小説といえると思う。 エンターテイメントとして面白いばかりか、読者に深い感動を与えてくれる作品である。 一読者の立場から申し上げると結末、主人公がどんな選択をするか興味深く読み進んだ。 スーパーマーケットで働き続けるのも、夫婦同権の現在、あり得る選択である。 だがさわやかなラストを読んだら、この選択でいいじゃないかと思えてきた。
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朝永京香
2021/4/21 22:11
倉橋 様 レビューありがとうございます。 私の悩んだところや考え抜いた点をてき確認に深く読みといていただき嬉しくてなりません。 これからも勉強をして良い作品を書ける様、精進して行きます。 宜しくお願いします。 そして、改めて本当にありがとうございました😭
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倉橋