ポラード

Confidence
ここは一件の場末の酒場。私は一人、控室で出番を待つ。 これから、小さなステージの上で、一本のスポットライトに照らされ、男達の嫌らしい視線に晒されるのだ。 私の披露するダンスの内容を、アルコールにやられた脳が理解することはないだろう。 悲しい現実だが、受け入れるしかない。 かつて、私は大きなステージで、色とりどりの照明にてらされ、数え切れない人達から喝采を浴びていたのだ。 私は選ばれし人間だった! 輝いていられる時間は短い。人生と言う長い時間のほんの一部分でしかないのだ。 分かってはいたけど、理解は出来ていなかったのかもしれない。 悲劇であり、喜劇だったのかもしれない。 限られた人間しか見る事が出来ない景色は、誰もが見る事が出来る物へと変わってしまった。 諦めきれない気持ちと共に、このまま、フェイドアウトしていくのだろう……。 鏡の前に写る自分を見つめ続ける事が出来ず、視線を微かに逸らせている自分に気が付く。 『自分の事すら見つめることが出来ないのね』 微かに息を洩らすような感じで笑ってしまった。 『今の笑みは何?全てを理解しての事かしら』 そうかもしれない。 『今日で最後にしたら。かなり前に終わっていたでしょう』 私は静かに立ち上がり、控室を後にして、ステージの袖に立つ。 未練が残っている、と言われたら、それは嘘ではない。 ただ、誰もが見る平凡な景色から学んだ事がある。 続けると言う事。 私はステージから声を掛けられている限りは、ステージに立ち続ける。 私を見たい! と言う人が、ステージの前に一人でもいる限り! 作品から浮かんできたSSです。 良かったら受け取ってください。絵の技術については分からないので、このような形になることを、お許しください。 いつも素敵な作品を拝見させいただき、ありがとうございます。
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ポラード様 こんにちは🌹 素敵なSSをありがとうございます。 どんな場所でも、たとえ一人になっても 自分を応援してくれる人がいる、苦悩しながらも続ける。 それまで培ってきた物が自信や誇りになりますね。 私も鉛筆画は腕や手が動く限り続けたいと思います。 覚えてしまったら止められないです。 私の為に長文に渡るSSを感謝致します。 善き時間を過ごせますように✨
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