モウコン没ネタ 暗闇の中。 炎が照らしている。 焚火を囲む蛮族が、私を見下ろしている。 私の命はもう残りわずかだ。 身をよじることもできず、呼吸すらできず、口を開閉させることしかできない。 尻から内臓、頭までを突き刺した一本の鉄の棒から、私の命は流れていく。 蛮族の卑小な罠にはまったのは、私の落ち度でしかない。 仲間たちと過ごしたあの自由な青い世界には、もう帰ることはできない。 私の目の前には、赤い、赤い炎がたゆっている。 じりじりと、炎の熱が私の体を熱していく。 徐々に体のたんぱく質が熱変性を起こし、白く固まっていく。 生き物であった私が、食物へと変わっていくことを感じる。 それでも私は、最後のあがきだと私を食すであろう蛮族へと目を向ける。 蛮族は笑っていた。 私はこの蛮族の体の一部になるのだ。 目の中の水分が蒸発し、何も映さなくなる。 炎の熱だけが体内に残り、本当の暗闇が私を包んだ。 最後に蛮族の声が聞こえた。 「キャンプでアユの塩焼きとか最高!いただきまーす」
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