音楽の愉しみと、ドアの先へ続くドラマと、ほんの少しの行動に震える。
今までどうして未読だったのか、自分をショルキー🎹の角で殴りたい。同時に、出会えて良かったと心から思える小説です。 主人公・キーボーディストの貴明はやや内向的ながらも、妹の澄香のためなら命を張れるナイスガイ。 その貴明の前に突如『どこ◯もドア』のごとく〈アナザー・ワールド〉へと繋がるドアと、その存在を知る少女・梨杏が現れます。別世界を行き来できる貴明は、ドアを行き来することで貴明は妹と同じ名前の、すみかという女性に出会い恋仲へ。 SF要素もある現代ファンタジー、かつ、魅力的なヒロインだらけのキャラクター文芸です。 しかし、この〈アナザー・ワールド〉へ繋がるドアの正体、ひとくせもふた癖もあります。 「あの時こうしていれば」「こう言えていたら」と、他者へできなかった後悔は誰にでもあるはず。 ドアを通して貴明は、過去へと向かい行動を起こします。 その一方で、〈アナザー・ワールド〉を跳躍する代償は、あまりにも大きい。 澄香とすみかを巡る、絶望とも呼べる展開が繰り広げられていきます。妹を中心にした世界で生きてきた貴明が、少しずつ変わっていく姿は、まっすぐで、ただ眩しい。 阿寒湖を舞台にしたクライマックスシーンと、湖に想いを馳せて貴明のバンド『Back Door Men』が演奏するラストには、涙腺崩壊必死です。 演奏された「Ancient water~悠久の湖水」は、著者様・イタサカ先生が自ら作曲し、YouTubeで聴くことができます。 (こちら→https://www.youtube.com/watch?v=DQJ4aKUxJas) ボーカロイドによる歌唱ですが、この小説を読破して澄香とすみかの存在を胸に宿した今、視聴すると、何層にも意味が生まれます。 誰かを想う力に溢れる今作を知り、身近な人達をもっと大切に、そして悔いなく行動しようと背中を押されました。 🎹しかも!この小説の面白さは、骨太なストーリーとキャラクターだけではありません。 随所に洋楽ネタが満載。 章タイトルからして、The Doors,Michael Jackson,The Doobie Brothers,Prince,Janis Joplin……等 キーボード名や、端々に出てくる曲名にニヤニヤしますよ! 洋楽ロック&ポップス好きは必読。知らない方はこれを機に、サブスクお供に是非読んでみて下さい♪

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