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真由
りかりー
2021/5/24 23:02
真由さんに届くかな? 『俺だけに溺れてろ』 「今夜は遅くなる。先に風呂に入って寝とけ。必ず玄関、窓の鍵は掛けろよ」 橘 玲夜。 長身でスーツがよく似合う。 漆黒の髪に、整った顔はいつも冷静で崩れない。 「お早うございます」 迎えの部下が来ると、玄関で上着を肩に掛けられ黒塗りの車の後部座席へ乗り込む。 「玲夜さん、いってらっしゃい」 10年前、両親を亡くしたわたしを引き取ってくれたのは玲夜さんだった。 泣きじゃくるわたしをずっとコートの中に包んでくれた。 わたしにとって、玲夜さんは出会った時からとても大切な人。 だけど…… 玲夜さんにとってはそうではない。 「今夜から彼女を預かることになった」 夜更けに戻った玲夜さんの後ろには、わたしと同じくらいの歳の女性が立っていた。 玲夜さんは今までに家に女性を連れてきたことはなかった。 それ相応の年齢の男の人だし、時には女性の残り香を感じたこともあったけれど、わたしに紹介したことはなかった。 「りおさん、窮屈な思いをさせてしまい申し訳ありません」 甲斐甲斐しく玲夜さんが世話をする彼女の名はりおさんと言った。 黒髪に黒曜石の瞳を持つわたしと同じくらいの歳の優しそうな女性だった。 にこっと笑う。 玲夜さんも笑みを返す。 普段表情の変わらない玲夜さんが柔らかく目を細めてる。 それが特別のように思えて…… 胸の奥がチクッとした。 もしかして、玲夜さんの好きな女性……? だとしたら、いつまでも玲夜さんに甘えてたらいけない。 迷惑かけないように就職を決めて、はやく独り立ちしなきゃ。 アルバイトを決めて、玲夜さんにそのことを話すと、 「ダメだ。何かあったらどうする!」 「どうしてダメなの?わたし、もう二十歳だよ。就職先だってもう探さなきゃ」 「アルバイトも就職も俺がいいと言うまでダメだ!それは保護者である俺が決める!」 話は一方的に切られた。 決まったばかりのアルバイトも、玲夜さんが断ってしまった。 それから、玲夜さんと口をきいていない。 玲夜さんも無理にわたしと口をきこうとはしなかった。 そんなことが一週間も続いたある日。 わたしは玲夜さんとりおさんが抱き合ってるのを偶然見てしまった。 大事そうに抱き締められたりおさん。 りおさんは泣いていた。 その瞬間、心が悲鳴をあげた。
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真由
2021/5/25 6:38
りかりーさんおはようございます! お話『俺だけに溺れてろ』届きました。 またワクワクして読みます。
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りかりー