みぐ

二組の絵描きの父娘の生き様・・
親の背中を追って子供が親の職業を継ぐということはよくあることです。しかし父親と同じ職業を志す娘さんは、それほど多くはないでしょう……。でもその場合は、父親が学問や芸術的な才能(センス)に富んだ人の事が多いのかもしれません。娘がその才能をDNA的に引き継いで、そして、その才能に憧れて……。 この物語には絵の才能に溢れる二組の父娘が登場します。一組は過去の浮世絵師の葛飾北斎とその娘の応為、そしてもう一組は現代の巖作家の主人公とその父。物語は多くの場面で二組の父娘を重ねて進んでいきます。同じ様に絵の才能を持つ父と娘。父のゴーストペインターとして生きる娘。作者が終盤で表現している様に、二人の娘にとっての父は、偏屈で、高い壁で、師匠で、異性で、戦友で、そしてライバルだったのでしょう。また、その才能には未だ想像を絶する格差が存在していたのです。 娘は父の背中を追っていきます。それはある意味、予め引かれた線路の上を進んでいく心地よさがあるかもしれません。でもいつかは自分一人で生きていく時がやって来ます。最終的に父のある行動が主人公の自立心を促し、明日の自分を描い(考え)ていく様に仕向けてくれます。どんな偏屈な父親でも娘の将来の事に心を寄せてくれている……。そんな事を考えさせる素敵な父娘関係を見せながら物語は終盤を迎えて行きます。 それにしても作者の潜水艦7号さんの知識、いや見識と言った方が良いと思いますが、本当に凄いと思います。今回の絵画だけでなく、様々な領域に幅広い知識を有して、歴史ものからファンタジー、ホラー、SF、ヒューマンドラマ、どんなジャンルでも素晴らしい作品を描き上げる筆力にはいつも舌を巻いています。ご自分でも雑食と仰っていましたが、この『応為』はその才能の一端を感じる事が出来る良質な作品に仕上がっていると思います。 素敵な作品をありがとうございます。 次回作も楽しみにしております。 みぐ🐧
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みぐ様 まいどありです!(><;) いつもお忙しい中、丁寧なレビューを本当にどうもありがとうございます! 毎回そうではありますが、こうして作品を上げると「ちゃんと伝わっただろうか、読み取れる事が出来る文章になっているだろうか」と心配になります。 字数に制限がある事もそうですが、足りない実力と「自分は分かっている前提」がどうしてもあるものですから。 なので、こうしてそれらをキッチリ拾って頂けると「ああ、ちゃんと伝わったんだな」と心底ホッとします。 そうなんです、偉大な父の背中というのは「付いていけばいい」という安心感があるんですね。でも、いつまでも牽引してくれるものでもない。それに
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