りかりー

ここは獣帝国。 妖しの九尾の狐は、この国の帝の長子。つまり一の宮で、東宮だった。 名前は狐月。そして、わたしはその彼の大切な宝珠を体に取り込んでしまった。 狐月は絶句した後、わたしをどうしようかと悩んだけど、とりあえずは目の届くところに置くことに決めたようだ。 「不本意だが、宝珠を取り戻すまでだ」 と、言い、少し離れた部屋に案内され、その変わった格好の服をどうにかしろと、十二単を着た獣耳お嬢さんたちに無理矢理に着替えさせられた。 お、重い。なんて重いんだろう。 そして、狐月は仕事へと出かけたらしい。 わたしのそばに座った可愛らしい耳を持った(こっちは猫らしい)侍女さんが教えてくれた。 夕暮れ時になって夕食を食べていると、廊下が騒がしくなり、御簾を突然跳ね上げて狐月が部屋に入ってきた。 「宝珠が俺を呼ぶ」 「え?」 一定距離、離れると宝珠が寂しがるのか狐月を引き寄せてしまうらしく、女性の元へ忍んで行ったところ、胸が騒いでいても立ってもいられなくなったのだという。 わたしがこの世界に来て、心細い思いをしていたから? 宝珠はもしかしてわたしの心と連動してる? 帰りたい、帰れない。帰り方がわからない。心細い、寂しい。 今のわたしに頼れるのは狐月だけだった。 「まあ、東宮さまったら、恋しさのあまり飛んでいらしたのですね」 侍女たちは微笑ましげに見て、「わたくしたち、今夜は下がらせていただきますね。何かありましたらお呼びください」と、引き留める間もなくいなくなってしまった。 宝珠がわたしにあるからだと知らない侍女たちは、狐月が恋人に会いに来たと勘違いしてるらしい。 狐月には悪いけど、顔をみたらほっとした。 わたしが違う世界からきたと知ってくれているから。 悪い男だったら、わたしをどうにかしていただろう。 ご飯を一緒に食べようと誘ったら、目を丸くされた。 それでも拒絶はなくて、それが宝珠の力のせいだとしても一緒にいてくれるのが嬉しかった。 「おまえ、なんだか顔が赤いぞ!?」 気づいた時には、お酒を飲んで記憶を失くしてた。 朝に目覚めたら、「おまえにはもう酒は出さん!」と、隣に横になっていた狐月に嫌そうな顔をされた。 二日連続で、ゲロゲロちゃんだったらしい。 ごめんなさい、狐月。 さすがに三日続けてはなしだから!
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りかりーさん おはよーございます。 狐月と朋実!ですね!! またまた、大好きな異世界ものです(笑) リアル世界で私のリハのPTさんが、施術中に、つい非現実的な用語が出てくるんですよ~(笑) お!この方私の素敵な妄想お付き合いしてくれそうやんけ!とポツポツとリハの間どの程度話が通用するか探っている最中です(笑) ところで、宝珠の指輪いいな。 赤い糸で結ばれてる糸が見えたり、指輪で運命の結び付きほんとに、見えたらいいのに。。。 と思っているのはわたしだけでしょうか。 りかりーさん、素敵なお話ありがとうございます。続き楽しみにしてますね
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