エブリスタ
さがす
本棚
通知
メニュー
コメント
真由
りかりー
2021/6/3 12:05
そんな他愛のない話をしながら、狐月はわたしの膝の上に頭を乗せて眠りに落ちる。 宝珠がわたしの中にあるから、そばにいると安心して眠れるらしい。 わたしも狐月に拾ってくれた恩を少しでも返したくて、眠りにつくまで宝珠のある左手で頭を撫でる。 狐月の頭の上の狐耳は柔らかくて、触れていると気持ちがいい。 ふさふさ揺れるたくさんの尻尾も本当は触りたいけれど、さすがにダメだろうな。 「触れてもいいぞ。少しだけならな」 なんで触りたいと思ったのがバレてるんだろう? でも、お言葉に甘えて触れてみる。 「なんだろうな、ただそばにいる、それだけで眠れるなんて。ああ、宝珠からの香りがするからか。桃の花の香りだ」 うとうとし始めた狐月は疲れているようだった。 七尾から聞いた話しによると、政務が大変らしい。 風邪をひいたらいけないので、わたしはたくさんの衣を引き寄せて掛ける。 その手を狐月につかまれた。 「俺の宝珠……」 琥珀色の宝石。狐月の瞳と同じ色。 できるなら宝珠を返してあげたい。 わたしから妖力を取り出せたらいいのに。 わたしは眠る狐月にそっと囁いた。 「ごめんね狐月。いつかきっと宝珠を返せると思うから待ってて。……おやすみなさい」
いいね
・
1件
コメント
・1件
真由
2021/6/3 14:23
りかりーさん こんにちは❗️ お仕事やコロナで大変な時に、毎日お話し有り難うございます。 お体に気を付けてくださいね😀
いいね
・
1件
コメント
前へ
/
1ページ
1件
次へ
りかりー