りかりー

それが現実。 わたしには狐月の役に立てる何かを持っていない。 わたしがわたしであることしか、価値がない。 「俺は、……おまえがよかった」 「え?」 よく聞こえなかった。 まるで呟くような声だったから。 「……なんでもない」 触れる狐月の耳が心なしか元気がない。 たくさんの尻尾も床に落ちている。 「狐月の妃候補……、決まったの?」 「………………」 これも答えたくないから無言が答え。 わたしもそれ以上、聞きたいとは思わなかった。 「夏の星空、キレイだね……」 この先、こうやってふたりで夜空を見上げることなんてないかもしれない。 狐月が正妃を娶れば、会うことすらできなくなるだろう。 おそらく、もうすぐ。 ズキッ 胸の奥が以前感じた痛みよりも強い気がした───
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りかりーさん、ありがとうございます\(^^)/ もどかしいです〰️😆
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