りかりー

※※※ 朝顔が庭に咲いて、日増しに陽射しが強くなる。 御簾を上げていても部屋の中は暑い。 こうなれば十二単なんて着ていられなくて、誰も見ていないことをいいことに、スポッと抜け出して寛いでいる。 「っ!?おまえっ!?」 声に振り返ると、狐月が目玉を落としそうなほど目を見開いていた。 はっと気づいて慌てて後ろにいた誰かの目を両手で塞いだ。 「み、見るなっ!!おまえも衣を整えろっ!!」 仕方ないからまた重しを羽織る。 暑いんだけどなー。 衣を整えると、狐月は連れてきた誰かの目を隠すのをやめて、ふたりでその場に座った。 狐月が連れてきたのは弟さんの八重樫だった。 「八重樫、さま?」 「兄に無理を言ってついてきてしまいました。姫は、……なんというか、自由ですね」 前にも庭に降りたのを見られている。 これで、恥ずかしいとされる場面を二度も見られたことになる。 八重樫は眩しいものをみるようにわたしを見て微笑んでいる。 こんなはしたないわたしに眉根を寄せるでもなく優しい笑顔を向ける。 「そういえば前に八重樫に会ったと話をしていたことがあったな」 狐月が思い出したように言った。 「うん、前に庭に降りてたら見られてたの。七尾には雷を落とされたよ。庭を歩いてたくらい見逃してくれてもいいのに……」 「庭に降りて?そりゃ、あの生真面目な七尾には怒られるわな」 狐月は渋い顔をした。 「舞い散る桜の中にいる姫君はとても美しかったですよ。桜の化身かと思いました」 八重樫、すごいお世辞…… ただボーッと桜を見上げてただけだったのに。 「この腕に、拐ってしまいたいほどでした」 八重樫は目を細めてわたしを見た。 狐月と似ている顔。それよりも雰囲気が優しい。 「今日は、姫が好きだと伺ったお菓子が手に入ったのでお持ちしたのです」 「お菓子?」 「ええ、水菓子です」 わあ、嬉しい! 自然に顔が緩んだ。 八重樫の隣で狐月の機嫌がなぜか悪くなる。が、甘いものには勝てない。 美味しいと三人で食べていると、七尾がお伝えしたいことがあるとやって来た。 「帝よりのお言葉です。『東宮妃候補、二の宮妃候補として、姫は、明日、参内するように』と」 突然告げられ驚いた。 目の前の狐月も八重樫も口から水菓子をぽとりと落とした。 は? 何がどうなってるのー!?
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面白くなりそうですね(・∀・)ニヤ
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